お盆に帰省した際、昭和17年生まれの母が、自らの終活を始めていました。
母は、これまでに購入した喪服や着物を整理し始め、「誰も着てくれないだろうから」と呟きながら、一つひとつ手に取っていました。
私自身、終活に携わる仕事をしているので、母がこうして自分の身の回りを整える姿を見ると、思わず心が温かくなりました。母が私に見せたのは、ただ物を整理する行為だけではなく、家族への思いやりや、残された者たちへの配慮でした。
母が自分の終活を考えてくれていることは、私にとってとても嬉しい驚きでした。終活というと、時に重苦しいイメージを持たれがちですが、実際はその人が生きた証を整理し、残された家族に思いを伝えるための大切なプロセスです。
母が「誰も着てくれないだろう」と言った着物たちには、きっと思い出が詰まっているはずです。それを手放すのは容易ではないでしょうが、母なりの「次のステップへの準備」が感じられました。
終活の専門家として、この瞬間はとても大切だと再確認しました。母の姿から学んだことを、これからも多くの人に伝えていきたいと思います。